「痛み」についての話
前回の記事に続けて、
もう少し「痛み」についてお話したいと思います。
多くの人が、『痛み(身体の痛み・心の痛み)』に対して、
「良くないものに違いない」と思い込んでいるようですが、
実際のところ、
「『痛み』というのは、『不調に対するセンサー』」
であって、
「生きるために必要なもの」
です。
もし、『痛み』というのが一切無かったとしたら、
怪我や病気に気付くのが遅れ、治療が間に合わず、
手遅れになる可能性が高くなります。
具体例を挙げると、『歯』は痛覚を持たないので、
虫歯になってもなかなか気付かず、
「痛みが出たときにはすでにかなり進行してしまっている」
ということが多いもの。
さらにこの『痛み』を我慢し続けると、虫歯菌が色んなところに侵入してしまって、大手術が必要・・・などということになりかねないわけです。
・・・と、まあ、そんなわけで、『痛み』は必要なものではあるのですが・・・
『痛みを感じる機能』には、
実は、いくつかの欠点というか、弱点みたいなものがあります。
そのうちの1つは、先にも挙げた、
「痛みを感じる機能を持たない箇所が存在する」ということですが、
他にも、
「人間は、『”痛みの原因”を正しく認識する能力』を、”持っていない”」
「様々な原因で、痛みを感じる機能が”麻痺”してしまうことがある」
などといった弱点もあります。
それぞれ、少しだけ掘り下げて説明すると・・・
例えば、
「姿勢が悪くて、腰に負荷が掛かり、その腰をかばうために無理な体勢を取ったために、膝に痛みを感じている」
というケースの場合、
本当に対処すべき箇所は、
『腰』
『姿勢』
です。
しかし、人間は、単に「膝が痛い」としか感じることができないので、
膝に対する治療を行うだけに留まってしまいがちで、
根本原因の改善に着手できないというケースをよく見掛けます。
また、「長年の不摂生が祟って痛みが出ている」という場合であっても、
「痛いのは、今」
なので、
最近の体験に原因を求めてしまい、
なかなか『真の原因』『根本原因』に辿り着けないことも多いですね。
と、いうわけで、
ざっくり言えば、
「痛みの原因を特定するのは、とても難しい」
のです。
あと、最初は『痛み』を新鮮に(?)感じることができるものですが、
継続的に(数ヶ月~数年、数十年もの間)痛みを感じ続けると、
次第に”麻痺”して、痛みを感じなくなっていきます。
そうすると、
「痛みを感じるような(不適切な)場所から抜け出さないと!」
というモチベーションが湧かなくなってしまいます。
見方によっては、これは、「その(不適切な)場所に適応できた」とも
言えますが、果たしてそれが健全かというと疑問が残るところ。
・・・で、実はこれらは、
『心の痛み』についても、同じことが言えるものです。
過度のストレスが掛かったり、トラウマ的体験をするなどして、
『心の痛み』
を感じたとしても、
「その『心の痛みの原因』は何なのか?」
というのは、
必ずしも、分かりやすいものだとは限りません。
時には、
『自分にとって、(頭では)「些細なこと」だと思っていたもの』
が、
とんでもない『心の痛み』として深く突き刺さっていることも多々あります。
例えば、よくあるケースとして、
「会社の同僚の些細なひと言に対して物凄く傷ついて、キレてしまった」
などという場合、
その『心の痛み』の実態の多くは、幼少期のトラウマだったりすることが
多いものです。
しかし、
「(心の)痛みを感じているのは、今」
なので、
怒りを目の前の相手にぶつけてしまいがちで、『本当の原因』に辿り着くのが
難しいのです。
また、『心の痛み』も、”麻痺”することがあるので、
「不当な環境で搾取を強いられ続ける」
「虐待のような環境から抜け出せない」
などというのも良く聞く話。
こうした場合、自己解決はなかなか難しいので、
必要に応じて専門家の手を借りるなどするのが望ましいと言えますね。
(ただし、こうした『痛みの仕組み』や『心の仕組み』を知らない、
”自称・専門家”もたくさんいるので、相談先は慎重に選ぶことが必要です!)
さて、話は変わって・・・
セラピーやカウンセリング、ヒーリング、エネルギーグッズなどを通して、
”麻痺”が取れると、
「『痛みを感じる能力』が”回復”して、痛みを感じるようになる」
(治療しているはずなのに、なぜか、どんどん痛みを感じ出す)
ということがあります。
この場合、
「感覚が正常になったからこそ、再び、痛みを感じられるようになった」
のであり、
痛みを感じるのは「歓迎すべきこと」「喜ばしいこと」だと言えます。
引き続き、”麻痺からの回復”に取り組みつつ、
新たに感じる(=回復して感じられるようになった)『痛み』に対して、
解決のための取り組みを行うと、人生はどんどん好転していくことでしょう。
しかしその一方で、
誠に残念ながら、
「”自称・専門家”が、誤った施術を行い、新たな痛みを生み出している」
というケースも、少なからず存在しています。
こちらの場合は、
当然、
「誤った施術を即座に中断し、”自称・専門家”と縁を切ること」
が、
「正解」となります。
ただ、厄介なことに、
「感覚が正常になったから痛みを感じられるようになったのか」、それとも、
「誤った施術を受けてしまったのか」
というのは、
「自分自身で判断するのは極めて難しい」
もの。
なので、
「信頼できる相談先を選ぶ」
(世間の評判や宣伝文を鵜呑みにするのではなく、自分自身で、相手が信頼に足る人物かどうかを見極める)
というのに加え、
可能であれば、
「受ける予定のセラピーや施術について、基本的な知識を学んでみる」
(提供者向けの情報を自分でも学び、より、適切な提供者を選べるようになっておく)
といったことを心掛けるのがオススメです!